平成26年度 総務経済常任委員会視察報告
総務経済常任委員会 委員 野崎審也
岐阜県多治見市「健全な財政に関する条例について」
多治見市は、岐阜県の南南東にあたり、市北部に中央自動車道が東西に走り、東濃地方の産業・経済・文化の中心地であるとともに中部経済圏の一翼を担う重要な位置にあります。昨年は日本での最高気温40.9度を記録したように大変暑いまちですが、熊谷市のような暑さをうりものにはしていません。人口は、11万4千人で、近年は名古屋市のベッドタウン化が進んでいます。現市長は、平成19年4月から就任し、現在2期目です。
財政健全化に向けた取り組み
平成8年に県下14市のなかで最悪の財政状況になり、財政緊急事態を宣言。 (経常収支比率 89.8%。)
平成13年には、財政の健全性を回復し、宣言を解除。
平成14年度から財政改革指針による財政運営がスタート。
平成18年度から庁内で議論を重ね、平成19年12月、現市長により財務条例が制定された。
条例のねらい
①財政が健全なときこそ、今後も健全な財政をまもり維持していくことが重要。
②世代間の負担の均衡を図る。計画的な行政運営と環境変化への対応。
③情報の共有と市民参加を基本原則としている。
市民参加の機会を計画から実施・評価までさまざまな段階で設け、公募市民や税理士・大学の教授・金融機関などが関わっている。また、地区懇談会で市長自ら意見交換の場を開いている。
財政判断指標
①償還可能年数 ②経費硬直率 ③財政調整基金充足率 ④経常収支比率 などを指標に掲げ、財政向上目標値や財政健全基準値を定め、財政状況の健全性の確保を図っています。ただし、基準値で規制はしません。あくまでも政策を実施するための財源があるかどうかの判断材料。
総合計画
多治見市では今まで総合計画は10年間で策定してきましたが、市長選挙マニフェストによる市長の4年間の任期にあわせた総合計画にかえ、第6次総合計画が策定された。財政向上指針も市長の任期ごとに策定される。施策もあれも、これもではなく、「あれか、これか」と選択と集中が重要との事。日本創生会議から将来消滅する可能性のあるまちにいわれましたが、若い女性が少ないので、今後は女性が住みたくなるまちへ変わる必要があります。
長野県岡谷市「テクノプラザおかやと工業振興対策について」
岡谷市は、長野県のほぼ中央部、諏訪湖や緑の山々に包まれ、中央・長野両自動車道が交わる広域交通の要衝で都市と自然が調和した、人口5万1千人のまちで、生糸のまちから県内有数の工業都市として発展。世界遺産で有名な富岡製紙工場がある群馬県富岡市とは、姉妹都市提携をしており、職員交流も行っています。
テクノプラザおかや
平成14年6月オープン。ものづくりの空洞化がすすみ、市内中小企業全体の構造転換が迫られ、産業振興の拠点となる施設が必要となり、建設された。市の工業支援体制の強化・充実のために、工業振興課ならびに産業振興戦略室も入居していて、官民と大学が連携する体制がなされています。3階建てで、1階は大研修室兼展示場・支援事務室、2階はIT支援室・商談室・産学連携支援室、3階は人材育成研修室・異業種交流スペースでいずれも有料です。
工業振興対策
製造業が中心ですが、人口5万1千人の割には、540社と多く、切削加工・研削加工などの企業が多いがいろいろな業種が集積しています。そこで、岡谷市では平成26年度から平成30年度までを計画年度に工業活性化計画を策定。将来工業都市像として「次世代を創造するものづくりのまち」をかかげ、 ①首都圏産業振興活動事業 ②企業連携推進事業 ③新技術・新製品開発支援事業 ④人材育成・確保戦略 など4つの戦略構想を推進。
戦略のポイント
①工業支援体制を強化するため、今まで一人だった副市長を、2名体制にし、 一人を「産業振興担当副市長」に任命した市長の英断がすごい。この方は、金融機関のOBです。産業振興・工業振興の職員は、19名。
②平成26年度から首都圏へ3名の職員の派遣を積極的に実施。国・県とのパイプを太くし、新たな人脈づくりを行い、情報収集と人材交流を有効に活用。
現在3名(中小企業庁、関東経済産業局、長野県東京事務所)本市もすべき。
③後継者や事業承継に悩む企業が急増しているため、21経営者研究会を実施して、企業化グループの育成・強化を図った。
④海外展開の支援もしている。地元の金融機関八十二銀行との連携で海外での販路拡大や新規事業などの相談にのっている。
本市でも検討・研究すべし。
⑤平成26年度当初予算は213億円ですが、商工費は、27億円で12.8%の構成で高い。本市は2.5%と低いので考えるべきです。