視察所見
総務経済常任委員会 委員長 野崎審也
山口県防府市「新産業育成事業」について
面積 188.59平方キロメートル 人口 118,479人(H23.4.1現在)
防府市は、歴史と共存する個性あふれるまちづくりを推進しています。10月1日から開催されている「山口国体」を活用し、商品開発をおこなった。防府ブランドを新たに創出するため、地元中小企業の商品開発に商標登録した「ほうふブランド 幸せます」を活用し販売促進を図っています。
○平成19年年度からは、「売れるものづくり支援事業委員会」を設置し、地場産業振興センターの相談員による企業訪問により得られたデータの蓄積・活用方法の検討・取り組んだ事業の推進成果分析・評価、実施をおこない、これにより出てきた新たな事業に対し、(1)創業支援、(2)新連携支援、(3)経営改革支援、(4)地域資源活用プログラム支援等、販路開拓への誘導をしています。
○現地視察で「まちづくり活動拠点施設」(天神ピア)を見てきました。市街地の交流人口の増加と賑わいの創出を図る施設というわりには、大変きびしい経済環境のなか、空き店舗対策もふくめ、苦戦している印象をもちました。ただ、「昭和館」は、レトロ調で入館料100円ですが今後、人気がでそう。聞くところでは、「まちの駅 うめてらす」に2号店をだすそうです。
★防府といえば学問の神様「天満宮」が有名ですが、そこに、まちの駅「うめてらす」が平成10年4月にオープンし、展示・休憩・情報コーナー、特産品・おみやげコーナー、お食事処などあり、観光の拠点としてにぎわっています。平塚市でも、八幡宮にいたる参道「大門通り」の個性化を図り、活性化とともに国道1号の横断歩道の設置がのぞまれます。
★説明役の商工振興課の課長の名詞をいただきましたが、社会福祉主事の肩書きもありました。つまり、中心商店街のまちづくりの視点のなかに、商店だけでなく包括支援センターもいれた、介護や福祉の機能をもった複合型のまちづくりをめざしているのではと感じました。
本市でも、富士白苑にある「よろず相談センター」は、花水川を渡った唐ヶ原地区にあり津波対策の上でも危険なので、中心部の花水地区に移転すべきと考えます。移転でなくても、支所や分室を設置する考え方はないのでしょうか。
佐賀県武雄市 「耕作放棄地対策」
面積 195.44平方キロメートル 人口 51,290人(平成23年3月末)
武雄市は、2期目を迎える樋渡市長(42歳、東大経済卒、総務省課長補佐から転進)の強いリーダーシップのもと、トップセールスを実践しています。ソフトバンクの孫社長の休耕田や耕作放棄地に発電パネルを設置する「電田構想」にいち早く全面的賛成をされたことでも全国的に注目されていました。
○行政機構について
営業部のなかに、農林商工課・特産品課・いのしし課があり、農業を営業と考え、特に特産品課は、販売するという強いメーセージが伝わってきます。又、いのしし課を設置。事業費は毎年約2000万円です。毎年、いのししの被害が甚大で昨年は、3450頭捕獲しましたが、1頭につき5千円の報奨金を支出しています。いのししは、鍋や、加工して特産品として販売。国の緊急雇用対策事業費3000万円を活用して「いのししパトロール隊」8名を組織して被害を防止しています。
他にも、「わたしたちの新幹線課(新幹線係)」や「佐賀のがばいばあちゃん課」など大変ユニークな名称のある営業部です。
★他にも、つながる部のなかに「お結び課(ご縁係)」を設置して婚活を推進しています。
平塚市の七夕は、出会いがキーワードです。13年前に企画実施した七夕結婚式を62回七夕まつりで復活させていきたいと思います。
○農地面積は、3250haで約12%にあたる約400haが耕作放棄地。そのため、H19年から「担い手育成総合支援協議会」を発足させ耕作放棄地対策をすすめてきました。協議会のメンバー:市・農協・認定農業者の会・農業委員会・農林事務所等事業内容:担い手支援活動・担い手育成・新規就農啓発活動・耕作放棄地対策
○耕作放棄地の地域は、イノシシ被害が深刻化しており、生産意欲の低下、担い手の減少、高齢化、農業所得の低迷等により耕作放棄地が増加しているので、6次産業への取り組みとして生産・加工・販売を総合的に展開し農業を活性化するため、レモングラスの取り組みをはじめた。イノシシは、レモンのにおいに弱いので、再生農地へのレモングラスの導入と商品開発、販路開拓をすすめてきました。H19年から栽培を開始しH20年には、レモングラス農家が結集し「農事組合法人武雄そだちレモングラスハッピーファーマーズ」を設立。H22年度には、国の耕作放棄地再生利用緊急対策交付金80万円を活用。市では、職員をタイに派遣し、栽培技術や加工方法を習得させている。何故、レモングラスか。
(1)生産効率の悪い農地が増えてきた
(2)高齢者の生きがいづくり対策
(3)地域における雇用の拡大
(4)寒暖の差が大きいので良質のレモングラスが育つ
H22年度は、レモングラスで2400万円の売り上げがありましたが、さらなる加工・販売面での強化が必要。
★本市の農業も強い農業をめざすには、営業力・企画力・技術力の重要性を再認識したところです。10月27日には、平塚産農産物ブランド「ひらベジ」をPRしょうとブランドキャラクター「ベジ太」が誕生しましたが、今後、武雄市のような、積極的な農業の営業をすべきで、農商工連携と産学公の連携をさらに深めていかねばいけないと考えます。(武雄市は、東京大学農学部・九州大学農学部との連携)
長崎県大村市 「中心市街地活性化基本計画」
面積 126.46平方キロメートル 人口 91,932人(H23年4月1日)
大村市は、世界初の海上空港である長崎空港や長崎自動車道のインターチェンジがあり、大変住みやすいまちで、花と歴史と技術のまちです。大村ハイテクパーク(工業団地)は、半導体関連企業や液晶フィイルム製造・電子機器製造などの企業立地とともに、長崎県の工業・建設の技術研究センター、環境保健研究センターもあり、近年には、自動車部品関連や航空機部品関連企業等の立地も進んでいます。
○人口減少社会に対応し、にぎわう地域を中心街に集めていく「コンパクトシティ」。このまちづくりを後押しする「改正中心市街地活性化法」が5年前に施行となり、富山市や青森市が全国で第1号の認定をうけました。大村市でも、H21年度からH 26年度を計画期間とする「大村市中心市街地活性化基本計画」を策定。計画では、居住人口の拡大、交流人口の拡大、商業の活性化を目標に、歩いて暮らせるまちづくりを志向し、再開発ビルと市民交流プラザをアーケードで結ぶ「2核モール」構想を軸に取り組みをしていますが、現時点では、完成には至っていないのでまだ成果はででいません。しかし、計画策定への取り組みは、参考になりました。
(1)市長公室の企画調整課が主管となり、計画を推進している点です。本市では、企画部企画課にそのような調整機能があまりなく、過去、大きな問題・課題を抱えてきましたが、今後、駅西口周辺や見付町広場の開発等考えられますので、市長直轄の庁内横断的な企画調整や総合調整の組織が必要です。
(2)計画策定には、商工会議所・商業者・住民代表・公共交通機関・銀行や青年会議所など地域経済の代表・医療関係者等で構成される「中心市街地活性化協議会」及び、市民の声が十二分に反映され、認定後の事業実施についても一体となった取り組みをしている点です。本市でも、パブコメ等意見をすいあげていますが、形式的になっていないだろうか。事業計画の意見の集約や説明の方法を充実するべきと考えます。
★商店街を歩いていましたら、宅配のチラシがあり、10月1日からオープンとのことです。これは、高齢者等へのお買い物支援のひとつで、商店会で「ふれあい共同宅配便」の加盟店を募り、宅配できる商品のチラシを共同で作成し、自宅に居ながら買い物できるシステムです。本市では、24年度の商業観光課の新規施策として「買い物支援事業」の展開を考えているようですが、まず、モデル地区を設定しての取り組みになると思われますが、後日大村市での成果や課題をお聞きし、参考にしたいと思います。