視察日 令和5年10月12日~13日
会場 青森県八戸市公会堂
テーマ 「文化芸術・スポーツが生み出す 都市の魅力と発展」
八戸市は人口約22万人の中核市で、青森県第2の都市でもあります。1929年市制施行以来、全国有数の水産都市として、また東北有数の工業都市、国際物流拠点都市として着実に発展してきました。
以前、中心市街地の活性化で行政視察に来ましたが、今回は見違えるようなまちの活力と賑わいを感じました。
熊谷八戸市長 文化・スポーツによるまちづくり
2011年、新たな交流と創造の拠点として開館したポータルミュージアム、「はっち」は地域資源の魅力を創出・発信し文化芸術、産業、観光、市民活動、子育て支援といった各施策を一体とした施設としてオープン。中心市街地の活性化という地域課題をかかえ、規制緩和に伴う商業機能の郊外移転やライフスタイルの多様化、消費行動の変化などに対応して来た。
「はっち」では、その場に行かなければ得られないもの、出会えない人やコトが集まる場を市民が観客としてではなく、当事者として自らも参加したり創作したりできる形で作ることが「はっち」運営のキーコンセプトです。その後、ブックセンターやまちなか広場、美術館など文化施設を公共交通網の整備と併せ、歩いて回遊できるエリアに整備し、文化的な機能を集積させ、多様な市民活動の場を作り出した。
また、2019年には、氷都八戸を象徴した、防災拠点機能を併せ持つ屋内スケート場をオープン。2020年、通常はアイスリンクだが半日でバスケットボールに転換できる日本初の「フラット八戸」が整備され、合宿や国内・国際大会に利用されています。日常から市民がスケートを楽しむ文化が根づいてきたからこそスポーツを通じて都市経営の新たな可能性を秘めています。子供たちのスケート教室への指導者派遣など競技人口のすそ野を広げる取り組みをしています。
また、スポーツのプロ化の流れの中で、現在、J3リーグ所属チーム、ヴァンラーレ八戸FCが活動。避難ビル機能を備えたサッカー専用スタジアムを整備できた。
コロナ禍前の2019年におけるヴァンラーレ八戸の経済の直接効果について、
事業運営支出費は5億6000万円、ホームチーム観客数延べ3万4000人やビジターの応援者、選手、役員などの支出が約1億2000万円、関連事業者等の支出で
4千万円、総合計で直接の経済効果は7億2000万円。
年間の経済波及効果は10億5千万円と算出されています。新たな雇用も98人と想定されました。
全選手がホームタウン応援大使として、地域の活動や魅力の発信、PRの実施など具体的には、観光地・特産品・地域文化などについてのクラブや個人SNSでの情報発信等や地域イベントの参加です。子供たちに「夢をもち楽しんで向かう事の大切さ」をサッカー教室や職業人講話を通じ、伝えています。
まちづくりにおけるプロスポーツクラブの有効活用
鹿島アントラーズFC 社長 鈴木秀樹
アントラーズが本拠をおく地域は、かってのどかな農漁村でしたが、高度成長期、鹿島臨海工業地帯の開発で工業のまちとなったが、近隣に娯楽施設がなく若者の首都圏への流失が社会問題になり、楽しい街づくり懇談会を立ち上げ、Jリーグ構想による「サッカーによるまちづくり」にかじを切り、1993年、日本初の屋根付きサッカー専用スタジアムを建設し、Jリーグに参画した。創設当初、鹿島町を含め5町だったが、平成の合併で、鹿島市を含め5市になった。クラブ創設からホームタウンの自治体が出資団体として参画。そのため、5市の自治体職員が1人ずつ1年交代でクラブに出向している。自治体はクラブ運営の責任を負っている。
鹿嶋市では、2022年の第4次総合計画でアントラーズ及び茨城県立カシマスタジアムを重点地域資源ととらえ、他の資源と結びつけながら地域経済の柱とする」
として、アントラーズとともにまちづくりを進めると明示しています。
ふるさと納税の事例
コロナ禍でクラブ運営は大きな打撃を受けたが、全国にいるファン、サポーターのふるさと納税型のクラウドファンディングによる寄付で鹿嶋市は2020年1億3千万円、2021年2億円でした。クラブが単なる民間企業でなく公共性の高い存在であり、地域に役立つ重要な資源として認められているからこそ多額な寄付がある。
地域の社会課題の解決を使命と考え、医療、教育に
- スタジアム内にフィットネスクラブを開設、健康事業をアントラーズスポーツクリニックの医療事業に発展
- 2020年ホームタウン5市の教育委員会と連携し、パートナー企業を紹介、鹿嶋市内5つの小学校でプログラミン教室を始めた。その後4市に拡大。
- 2014年から5市の小学校でアントラーズ食育キャラバンの活動をおこない、パートナー企業が派遣する公認スポーツ栄養士が小学校を巡回、テキストには選手が登場し、ユース選手寮の食事メニューを紹介している。
- 2021年からは鹿嶋市の全12の小学校の児童がアントラーズの選手が登場するTPR教材(全身反応教授法)で英語を学び始めている。
- 2021年新スタジアムプロジェクトを発表し、目指すは、地域の課題解決型のスタジアムで、まちづくりの核となるための青写真を自治体とともに描いています。